〈アフリカ〉
★アフリカ大陸で、主なコーヒー産出国は、エチオピア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ケニアなどです。
★オレンジやパイナップルのようなフレッシュでジューシーな酸味、シャープでキレの良い苦味、甘い香りや後味が特徴です。

アフリカ産のコーヒーは、カリブ海地方や中米・南米やアジアとは異なる味わいで、みずみずしい鮮やかな印象で期待のすべてを満たし、その心を奪うでしょう。
鮮烈な力強い味わい、目が覚めるようなレモンやパイナップルのジューシーな酸味、熟れたフルーツの濃厚な甘み、花や大地の香り、時に繊細さが、時に野性味が感じられ、一杯のコーヒーに目まぐるしく活き活きとした風を感じることがあるのではないでしょうか。
アラビカ種の発祥地といわれるエチオピアとロブスタ種の発祥地といわれるコンゴの双方がアフリカ大陸にあり、また最高級コーヒー豆の名高いゲイシャ(ゲシャ)種もまた、パナマ産として脚光を浴びましたが、その発祥はエチオピアといわれています。
最も権威のある国際的なコーヒー品評会、カップ・オブ・エクセレンス(COE)においても、アフリカ大陸の国々は開催国としても入賞国としても名を連ね、世界的にも最高品質のコーヒー豆の産地としての名に恥じません。


〈中央アメリカ・カリブ地域〉
★北米と南米の中間と、メキシコ湾の南東にあるカリブ地域で、主なコーヒー産出国は、グアテマラ、コスタリカ、パナマ、ジャマイカ、キューバ、ホンジュラス、ニカラグア、エルサルバドルなどです。
★アプリコットやプルーンのようなまろやかな酸味、芳醇な甘さ、爽やかな苦味、くせのないマイルドな口当たりが特徴です。

北アメリカ大陸と南アメリカ大陸を結ぶ細長いエリアにある国々と、カリブ海に浮かぶ島国です。
中央アメリカ産のコーヒーの特徴として、全体的にマイルドで、控えめな酸味と優しいほろ苦さ、コクのある舌触りや甘い後味が挙げられます。
最も権威のあるコーヒーの国際的品評会、カップ・オブ・エクセレンス(COE)の開催国としても上位入賞国としても多く名を連ねます。
全域がコーヒーベルト内にあり、温暖な気候と気温差を作る山岳地帯・火山質の土壌、とコーヒー栽培に必要なすべてが揃った中央アメリカ・カリブ地域から産出されるコーヒー豆は、品のある豊かな香り、アプリコットやベリーのようなジューシーでやわらかな酸味、上品で気持ちの良い苦味、キャラメルのような甘い余韻が魅力です。
このエリアでのコーヒー豆生産量で第一はホンジュラス、第二はグアテマラ。
ハリケーンや病虫害蔓延による全滅の危機などを経験しながらも、高品質なコーヒー豆を送り出している国々です。


〈南アメリカ〉
★アメリカ大陸の南部で、主なコーヒー産出国は、コロンビア、ブラジル、ペルー、ベネズエラ、ボリビア、エクアドルなどです。
★アロマティックで、プラムやベリーのようなフルーツの甘酸っぱさ、しっかりとした苦味と強いコクが特徴です。

日本で長く住んでいる日本人にとって、南アメリカ産のコーヒーはどこか馴染みのある味に感じられるかもしれません。
コーヒーの生産量が世界の三分の一以上を占め、もちろん生産量世界一位のブラジル、近年アジアから躍進するベトナムに続くもののなお生産量世界三位のコロンビアなど、昔から南アメリカのコーヒー豆が日本にも多く輸入されてきたことから、喫茶店でもインスタントコーヒーでも、ブラジルやコロンビアのコーヒーを口にする機会が多かったのではないでしょうか。
昔から日本で多く流通するコーヒーを飲みなれた方にとっては、典型的なコーヒーらしいコーヒーの味といえば、南アメリカ産のコーヒーの味といえるでしょう。
南アメリカ産のコーヒーの特徴として、飲みなれているということを差し引いても、味わいからボディにおいて全体的なバランスの良さが挙げられます。
アロマティックに香り立ち、まろやかな酸味とすっきりとした苦味の絶妙なバランス、ナッツの風味、しっかりとした後味などが魅力です。
その中で、ブラジル産のチョコレートやナッツの風味、コロンビア産のトロピカルな甘酸っぱさ、ペルー産のプラムのような柔らかな酸味と軽い口当たりなど、それぞれの個性の豊かさに驚かされるでしょう。


〈アジア・オセアニア〉
★アジア大陸(ユーラシア大陸のうちヨーロッパを除くエリア)の主なコーヒー産出国は、イエメン、ベトナム、インドネシア、中国、インド、ラオスなど。オセアニアでは、ハワイ、パプアニューギニア、オーストラリアなどです。
★香ばしさ、ずっしりと重く強いコクのある味わい、ハーブや土や大地の風味、苦味やスパイシーさが特徴です。

世界のコーヒーの生産量でブラジルに次ぐ第二位のベトナム、コロンビアに次ぐ第四位のインドネシアを擁するアジア。特にベトナムで生産されるコーヒーの大半がロブスタ種であることや日本に近く輸送費が抑えられることなどもあって、日本で大量に流通する缶コーヒー・インスタントコーヒーなどのブレンドにもベトナム産のコーヒーが頻繁に見られます。アジア産のコーヒーの高級銘柄としては、世界三大コーヒーのひとつであるハワイのコナ、西アジアでモカ発祥の地イエメンのモカ・マタリ、スマトラ島のマンデリン、スラウェシ島のトラジャなどが有名です。
また、熟したコーヒーチェリーを一度特定の動物が食べるという過程を経ることで微妙な風味の変化が生まれ、希少価値という付加価値を得たユニークな高級コーヒー豆がいくつかアジアに見られます。これは動物の体内で消化されずに排泄されるコーヒー豆に、その間、消化酵素やその他の消化物と接する過程が加わることで、通常には得られない独特の風味などが表われるためとされ、インドネシアのコピ・ルアク(カペ・アラミド)はジャコウネコの糞から、タイのブラック・アイボリーはゾウの糞から、台湾のモンキー・コーヒーはサルが吐き出したものから、それぞれ採集・洗浄して作られます。
コーヒー農園の周辺で生きる現地の生物との関わりから生まれた独特なコーヒーの発見の背景には、欧米による植民地時代のコーヒー栽培、自然に密着した生活、味わいへの探求心が合わさった瞬間があったのではないでしょうか。大地に根付いたような丸みのある力強い味わいに漂うチョコレートの甘みやスパイシーさ、味わいの奥行きを探索する楽しみが魅力です。


〈どのエリアから始めようか……という方〉

好みのタイプからおおまかなエリアを探す最初のとっかかりとしてどうぞ。

・甘い香りとフルーティなジューシーさが好き→アフリカ
・バランスが良く華やかで甘い口当たりが好き→中央アメリカ、オセアニア
・しっかりボディとコクを感じるタイプが好き→南アメリカ
・丸みがあり、奥深い味わいや重いコクが好き→アジア

参考になれば幸いです。
どうしても決められない方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。